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華のしずく~あなた色に染められて~
第14章 【残菊~華のしずく~】二
     二
 
 五喜が城へ上がってひと月が過ぎた。
 五喜が奥御殿の廊下を歩いていたときのことだ。ふと五喜の歩みが止まった。
 その視線が庭先へと吸い寄せられてゆく。秀吉自慢の庭には秋もそろそろ終わりに近づいた今も、季節の花たちが思い思いに咲き誇っていた。秀吉は菊の花をこよなく愛している。今、奥庭は大輪の菊が黄、白、紫と鮮やかな色で豪華絢爛にその美しさを競い合っている。
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