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華のしずく~あなた色に染められて~
第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人
―今度また逢えるだろうか。
秀吉はいつしか考えていた。羽柴秀吉、この青龍の国を統べる若き領主である。秀吉は先代秀信の四男として生まれた。だが、脇腹であったために、生母と二人肩身の狭い想いをして育ったのだ。秀吉の母は南蛮より日本に流れ着いた異国人であった。女郎屋で遊女として身をひさいでいたところを秀信の眼に止まり、城へ側室として召し上げられたのが二十歳のときである。ほどなく懐妊し、秀吉を生んだのだが、秀信の正室定子(さだこ)に虐げられ、わずか三年後に城から出された。
秀吉はいつしか考えていた。羽柴秀吉、この青龍の国を統べる若き領主である。秀吉は先代秀信の四男として生まれた。だが、脇腹であったために、生母と二人肩身の狭い想いをして育ったのだ。秀吉の母は南蛮より日本に流れ着いた異国人であった。女郎屋で遊女として身をひさいでいたところを秀信の眼に止まり、城へ側室として召し上げられたのが二十歳のときである。ほどなく懐妊し、秀吉を生んだのだが、秀信の正室定子(さだこ)に虐げられ、わずか三年後に城から出された。