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華のしずく~あなた色に染められて~
第19章 【花紋~華のしずく~】 二
「―!?」
 麗子は驚愕に眼を見開いた。まさか、このような雪の日の夕刻、小さな温泉にくる者がいるとは思いもしなかったが、迂闊であった。
狼狽して身を竦ませていると、相手も息を呑んでいる愕きの気配が伝わってきた。
「そなた―」
 湯げむりの中、次第にはっきりとした人影が掠れた声で呟く。
 麗子は怯えの色をその瞳に浮かべ、信斉を見つめた。
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