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華のしずく~あなた色に染められて~
第20章 【朱夏~華のしずく~】
「さあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。これなるは近江の上質な絹で仕立てた小袖だ。多少袖を通してはいるが、殆ど新品も同様、お買い得だよ。さあ、買った、買った。そこの兄さん、奥さんに一枚、土産にどうだい」
賑やかな物売りの口上が声高に響き渡る。古着売りであろうか、男の回りに大勢の人垣ができている。向こうからはイカを焼く何とも食欲をそそる匂いが漂ってくる。露店が所狭しとひしめき合う往来には、あまたの人が集い、行き交っていた。
賑やかな物売りの口上が声高に響き渡る。古着売りであろうか、男の回りに大勢の人垣ができている。向こうからはイカを焼く何とも食欲をそそる匂いが漂ってくる。露店が所狭しとひしめき合う往来には、あまたの人が集い、行き交っていた。