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華のしずく~あなた色に染められて~
第20章 【朱夏~華のしずく~】
「世間知らずの娘なぞ騙すのは容易いものだ。見知らぬ男に声を掛けられて、のこのこと付いてくる方が悪いのさ」
 藍丸の手を掴んだ男の手に力がこもった。
「痛ッ」
 藍丸が顔をしかめた。相手は小柄とはいえ、大人の男とまだ十二の子どもでは所詮、力に差がある。藍丸は男の手を振りほどこうとしたが、男の手は張り付いたように動かない。
「いいことを教えてやるよ」
 男が嫌らしげなうすら笑いを浮かべた時、急に藍丸の視界から男の姿が消えた。
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