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華のしずく~あなた色に染められて~
第22章 其の壱~飛花~
「藍丸、再びあの世であいまみえようぞ」
 秀吉は小姓時代のように時治を呼び、静かに微笑んだ。
 秀吉のその呼び声は、その時、確かに時治の耳にも届いた。
 必死の形相で敵をくい止める時治は主君の声なき声を聞き取り、秀吉がついに最期のときを迎えたのを悟った。時治は近くにあった燭台から素早くろうそくを手にし、それを使って部屋に火をかけた。炎は障子から襖へと次々に息をつくまもないほどの早さで燃え広がってゆく。敵兵たちが息を呑んで後ずさり、やがて、散り散りに後退していった。
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