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華のしずく~あなた色に染められて~
第22章 其の壱~飛花~
 帰蝶の眼に涙の雫が溢れた。
―では、行って参る。
 別れたのは、わずか半月ほども前のことであった。秀吉から賜ったという愛用の鹿毛に跨り、美々しい武者姿で行列の先頭に立ち出立していった良人、あの優しい笑顔をもう二度と見ることができないなぞ、信じられぬことである。
―殿、何ゆえ、私一人を残して逝っておしまいになられました。
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