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華のしずく~あなた色に染められて~
第24章 【夕桜~華のしずく~】 其の参~山梔子(くちなし)の夜~
しかし、秀康はそのことを内外に伏せ、ひそかに偽の青龍刀を作らせ、有しているというのだ。青龍刀は〝蒼き龍〟と呼ばれた秀吉によってその存在を広く知られることとなった。
秀吉のゆくところ常に青龍刀ありと云われ、いつも肌身離さず身につけていた。彼のその最期の瞬間(とき)を見届けたのもまた、この青龍刀であった。ゆえに、秀吉が自ら羽柴家の当主の証である宝刀を抱いて炎の中に果てた―ということは即ち、羽柴氏も自らの代で終わるということを暗に示したとも受け取られ、次の当主たらんとする秀康にとっては非常に具合の悪いことになる。
秀吉のゆくところ常に青龍刀ありと云われ、いつも肌身離さず身につけていた。彼のその最期の瞬間(とき)を見届けたのもまた、この青龍刀であった。ゆえに、秀吉が自ら羽柴家の当主の証である宝刀を抱いて炎の中に果てた―ということは即ち、羽柴氏も自らの代で終わるということを暗に示したとも受け取られ、次の当主たらんとする秀康にとっては非常に具合の悪いことになる。