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あなたに抱かれたい
第17章 エピローグ

「あなた、GW(ゴールデンウィーク)はどこかに旅行に行きたいわ、ねえ、近場でいいから連れていってよ」

「無理を言うなよ、GW(ゴールデンウィーク)は接待ゴルフ漬けだというのを君も知ってるだろ」

海外赴任を命じられてから三年…
ようやく日本に帰ってきた夫の拓哉だったが、海外での実績を認められて、役職も一気に飛び上がり、係長だった拓哉は課長、部長を飛び越えて営業本部長という大任を負っていた。

「そんなに偉くならなくてもいいじゃない」

久美子としては係長のままでもいいから、週末はゆっくりと休んでもらって、家族揃ってお出かけというのが理想の家族の形だと思っていた。

「家族揃ってといったって、茉優はすでに大学生でこの家を出ているし、正弥も社会人で建築関係の仕事をしているから不規則な仕事でろくに僕たちと休みが合わないじゃないか」

正弥は建築業…
苦し紛れに父親の拓哉にそのように説明したのをすっかりそうだと信じ込んでいた。

正弥の仕事…
ひょうたんから駒ではないが、一度だけ冗談半分で「あんた、AV男優をやりなさいよ」と茉優が言ったのを真に受けて、義母の久美子や父親の拓哉に内緒でオーディションを受けたのだが、これまた天職というべきか、今ではセクシー女優から相手役として指名されて引っ張りだこのスターになっていた。


やがて拓哉を迎えにきた車が家の前に横付けされた。
インターホンが鳴らされ「本部長、お迎えに参りました」というどこかで聞いた女の声がした。

「あなた…この方って…」

モニターに映る女を見て、久美子は驚いた声をあげた。

「ああ、アーヤだよ、君も知ってるよね?
こっちに僕が帰ってくるのを機に彼女も日本に呼び寄せた。
彼女以上の秘書はなかなか見つからないからね」

『この人、まだこの女と切れてなかったのね』

一瞬、ムッとなったった久美子だが、すぐに穏やかな顔に戻って「帰りは遅くなるんですか?」と訊ねた。

「ああ、相手方とゴルフの後は会食を予定しているからね。
遅くなると思うけど先に休んでいていいよ
なんたって今が一番大事な時期だからね」

「そうね、家でおとなしくしているわ」

そう言って久美子は膨らみ始めたお腹に手をやって勝ち誇った顔をした。
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