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O……tout……o…
第1章 おとうと
 9

 しんちゃんは成長期プラス、サッカーという運動の相乗効果もあり、みるみる身長が伸び、筋肉が付き、そして…
 元々の愛らしかった丸顔がキュッと締まった、精悍さと可愛いさが混じった、いわゆるアイドル顔になっていた。
 
 だから当然小学校で一番の人気者となり、いや、勉強の成績も良く、モテモテの男の子へと成長していったのだが…
 まだ中身は昔のかわいいしんちゃんのままであり、いつも帰宅すると『あーちゃん、あーちゃん』と、家の中ではわたしに纏わりついてきて…
『本当にあんたたちは仲良しねぇ…』
 いつも母親に云われていた。

 だがしんちゃんは、小学六年生でもわたしはもう高校一年生に進学した16歳であり、胸もそこそこに、陰毛も生え揃い、生理も中二から始まり、精神的にはまだ幼かったのだが、カラダはほぼ大人に近い成長をしていたのだ。

 そして…
 高校二年生となった春先に…
『ねぇ、葵ちゃんの弟ってさぁ、すっごくかわいくてカッコいいんだってねぇ…
 ウチの妹がクラス一緒になったって喜んでたわぁ』
 と、中学からの同級生の友達がそう云ってきた。

 その時わたしは、しんちゃん、義弟の真司に対して、初めて少しだけ男の子から『オトコ』として意識をした…
 でも、家の中では相変わらずのかわいいしんちゃんという存在感のままであったのだが…

 しかし、それは、あの時から…

 かわいい男の子のしんちゃんから、オトコ、男のしんちゃんへと一気に変わったのである。

 あの時…

 そうあれは高校二年の間もなく夏休みになるという時期…
 わたしは文芸部に所属していた。
 それは読書が好きであったのと、マンガも好きで、いや、本当はマンガの方が大好きで、読書を装い、正々堂々とマンガが読めるから。

 そんな感じだったのでもちろん、精神的にはまだまだ幼さの残る、いや、オンナとしては未熟そのものであった…
 だが、高校二年生であるから、周りの部員、先輩、同級生、後輩たちはオトコに、異性という存在に興味津々であり、当然、毎日の雑談会話は、異性、オトコ、男、男女交際、そして『性』への話題が常に中心であった。

 いや、それらの話題に疎いのは…
 そして高二の今まで彼氏という存在、ううん、興味すらないのはわたし一人だけ。

 きっかけは、その部活の終わりの、いつもの雑談の時であった…




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