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第3章 別の私

私を抱き締めた腕が力を増した。


｢下まで送るよ。

バーテンさん、コークハイ…そこに置いといて。彼女を下まで送って来るから。｣

｢大丈夫です。ひとりで歩けますから…｣



彼といたら私は、歯止めが掛からなくなる。


私が私じゃ無くなる…


｢送るから!!｣


彼は私の腕を掴んだまま離さない。


エレベーターの中で彼は私を抱き締め唇を奪った…


ほんの短い口付け――


それは悪女への誘惑の合図だった。