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助教 沙霧
第10章 秘密のいとなみ ~研究室~
深夜の大学研究棟は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返り、冷たいコンクリートの壁が呼吸を止めているかのようだった。
沙霧は、研究室の隅にある自分のデスクで、一台のパソコンの青白い光に照らされていた。周囲には誰もいない。院生たちは終電を前に帰り、警備員が巡回に来るまでにはまだ時間があった。
画面に映し出されているのは、誉からの最新のコメントだった。
『師よ、貴女の告白を受け取りました。檻の格子に指をかける、その震えまでが伝わってくるようです。しかし、真に自由を求めるならば、まずは自分が何によって縛られているのか、その「証」を私に示さねばなりません。言葉ではなく、貴女のその肉体が発する、偽りのない真実を』
「証」を示せ
その言葉は、命令だった。沙霧は乾いた唇を噛み、周囲の暗闇を窺った。
ここは学問の聖域だ。自分が人生のすべてを賭けて、高潔な知性を積み上げてきた場所。本棚に並ぶ無数の古書、敬愛する師から譲り受けた辞書、そして何年もかけて書き溜めた研究ノート。それらすべてが、今の自分の不埒な熱を糾弾しているように思えた。
だが、誉の言葉は、それらすべての重圧を上回る引力を持って、彼女の理性を深淵へと引きずり込んでいく。
沙霧は、研究室の隅にある自分のデスクで、一台のパソコンの青白い光に照らされていた。周囲には誰もいない。院生たちは終電を前に帰り、警備員が巡回に来るまでにはまだ時間があった。
画面に映し出されているのは、誉からの最新のコメントだった。
『師よ、貴女の告白を受け取りました。檻の格子に指をかける、その震えまでが伝わってくるようです。しかし、真に自由を求めるならば、まずは自分が何によって縛られているのか、その「証」を私に示さねばなりません。言葉ではなく、貴女のその肉体が発する、偽りのない真実を』
「証」を示せ
その言葉は、命令だった。沙霧は乾いた唇を噛み、周囲の暗闇を窺った。
ここは学問の聖域だ。自分が人生のすべてを賭けて、高潔な知性を積み上げてきた場所。本棚に並ぶ無数の古書、敬愛する師から譲り受けた辞書、そして何年もかけて書き溜めた研究ノート。それらすべてが、今の自分の不埒な熱を糾弾しているように思えた。
だが、誉の言葉は、それらすべての重圧を上回る引力を持って、彼女の理性を深淵へと引きずり込んでいく。

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