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助教 沙霧
第2章 研究の日々
 午前七時、目覚まし時計の無機質な音が、沙霧の静かな眠りを切り裂いた。

 遮光カーテンの隙間から差し込む一筋の光が、整然と片付けられたワンルームマンションの床を照らしている。沙霧は迷いなく上体を起こすと、寝癖のついた短い髪を軽く掻き上げた。彼女の朝は、常に効率的であり、儀式的ですらあった。

 鏡に向き合い、冷たい水で顔を洗う。水滴が弾ける白い肌は、化粧を施さずとも瑞々しく、意思の強そうな眉と涼やかな目元が、鏡の中から沙霧を真っ直ぐに見返した。二十九歳の女が持つべき華やかさを、沙霧は意識的に削ぎ落としている。

 それでも、洗いざらしのシャツに着替える際、薄手の生地を押し上げる豊かな胸の重みと、鏡に映る自身の肉体の曲線に、沙霧は一瞬だけ指を止めた。

 (また、あの疼きがやってくる...)

 心に宿る確かな、しかし決して望んでいないはずの淫靡な「予感」。。。
 
 それを振り払うようにそそくさと身なりを整え、沙霧は「日常」の待つ外界へ足を運んだ。

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