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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第16章 アトリエ

【僕が知ってる裸は…結奈さんだけだ…】

先輩と叔母では背も肉付きも全然違う。

「藤沢くん……私の手を描いてみて……」

「…手を……」

先輩は左手で影絵のキツネを表現してみせる。
陽翔はすぐにスケッチブックに描いていった。
白い石膏の手をこれまで何度も模写してきた。
でも、それとはまったく違った。
細く白い指はまさに生身だった。

【小さい…でも指は細く長い…爪も綺麗に整えられているんだ…】

なんだか…これまで描いてきた手とは違う出来映えに思えた。

「…そう…上手……私の手ですね……」

誉められて嬉しかった。
ちょっと照れ臭そうに…

「ありがとうございます……」

「次は耳を描いて……」

先輩はそう囁き、長い髪を耳にかける。
またすぐに鉛筆を滑らせていく…。
先輩の耳の産毛までが視える。

【耳朶はわりと小さいんだな…】

「いいですね……じゃあ、次は唇をお願いします……」

「え?…唇…ですか……」

唇と言われて急に緊張がぶり返してきた。
手と耳は集中して描けたけど。

「はい…私の唇を藤沢くんが描くんです……お願いします……あなたの中で私を具現化してください……」

そして先輩は左手で目元を隠した。
間近で見つめられるのが恥ずかしいのか、 それともこちらが集中しやすいようにと配慮なのか…。

薄い唇だった。
リップを塗っているのか…艶々している。

「…か、描きますね……」

先輩は少しだけ口角を上げた。
引いた線を指先で陰影をつけていく。
デッサンの唇とリアルの唇を何度も見比べていた。

【違う…もう一度……】

スケッチブックの空いたスペースに最初から書き始めると…

「難しいですか?……」

「唇だけをデッサンしたことはないので…もう一度描かせてください…」

描き直そうとする手を先輩が不意に掴んできた。
そんなに力は入っていない…ゆっくりと導かれていく。
陽翔は鉛筆の先が先輩に当たってしまいそうで、手から落とした。

「…部長?……」

戸惑い気に問いかける。




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