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海に漂う星屑のように
第4章 佐倉陽菜多
なんて、言っていいかわからなかった。

「いや・・・おかしくは、ねえんじゃねえか・・・?」
だから、かろうじて、言った。
まるで、木に竹を接いだような、ぎくしゃくとした、言葉だったと自分でも思う。

「無理しなくていいよ」

そんな言葉しか吐けない俺に対して、その言葉は優しくて・・・
あまりにも優しくて。

そして、『独り』だった。

「無理してない」
「いいよ」

陽菜多が目の涙を拭って笑った。
無理矢理笑っているのがよく分かった。

ぽつぽつとあふれる言葉
寄せては返す、波のように
静かに、それでも止まらずに

「昔から、みんなと違った
 好きな色も、漫画も、本も、ゲームも・・・
 同じにならなくて、
 でも、同じフリをしていた」

みんなと同じものが好きなフリ
みんなと同じ感じ方をしているフリ
そして、
みんなと同じように、女の子が好きなフリ

「でも、ダメだった
 どうしようもなかった
 カイトを・・・彼を好きになっちゃって
 隠しても、隠しても、あふれて、とまらなくなって
 それで・・・」

たった一度だけ、言ったんだ

『カイトが好き』・・・って

「そしたらさ、カイトも好きだよって言ってくれて
 だから、俺、嬉しくなっちゃって
 ふたりで色んな所に行ったんだ。
 カイトも楽しそうにしてくれた
 だから、俺、勘違いしたんだ
 ああ・・・カイトは俺の気持ち分かってくれたんだって」

でも
ある日、出かけた帰り道
俺にとっては楽しいデート
カイトにとってはダチとの遊び

今日みたい、こんな日。
夕日がきれいで、空に藍が落ちて、一番星が光ってて
カイトがいて、世界があんまりにもきれいで
俺はとても幸せで・・・。

「だから、俺・・・キスしてって言ったんだ」

瞬間、世界が、反転した。

戸惑ったカイトはその場から走り出した。

「手紙をもらったのは、それから1週間後。
 見るの怖かったけど、見た
 いっぱい、字が書いてあった。
 カイトなりに、たくさん、たくさん俺のことを考えて、
 一生懸命書いてくれたのが分かって。
 でもさ・・・『ダメ』・・・ダメだって・・・」
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