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夜空に煌めくアラベスク
第4章 かに座の女
彼、福本誠也くんは高校野球でピッチャーをしているとの事だった。
高校三年生なので、この夏の大会が最後になるのだけれど、治療期間を聞いて泣き始めた。
「君がプロを目指したり、大学へ進学したり、或いは社会人野球としてこれからも野球をする必要があるんなら思いきって手術を勧めるけど…でも、野球をしないんなら手術しななくても生活に支障はないわよ…どうする?」
手術費用は15万から30万円かな…そのように伝えると
「じゃあ、手術はしません。
手術しなくても普通の生活には支障はないんですよね?」
えっ?いいの?野球は諦めるの?
そのように訊ねてみると「うち、母子家庭なんで、手術代を払える余裕はないし、どうせ高校を卒業したら働こうと思っていたし…」と野球には未練がないときっぱりと言いきった。
それが成美と誠也君との出会いのきっかけだった。
「ね、次の土曜日、誕生日でしょ?お祝いしてあげるわ」
「ホントに?じゃあ、僕、先生の家に遊びに行きたいな」
患者と担当医というよりは、検診で度々顔を合わせているうちに、二人は姉弟のようになんでも話せる気さくな関係になっていた。
「じゃあ、誠也くんのためにケーキを焼くから、うちでお祝いしましょうよ」
弟のような存在になったとはいえ、始めて男性を部屋に招くことになって、成美はドキドキしていた。

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