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スパイ少女は奴隷になる
第4章 新しい生活
 目を覚ました私は視界を遮る黒い格子を見て、自分が昨日、どうなったのかを思い出します。酷いミミズ腫れは引いたものの、打たれた場所は赤紫色の痣になり、銀色のリングピアスはまだ馴染んでいないのか、まだ痛みます。何より首につけられた黒革の首輪が私の立場を思い知らせていました。そのまま手持ち無沙汰に首輪を触っていると、嶺二様がやってきて、檻の扉を開けてくれました。

「ついてこい、ただし立ち上がるな、四つん這いでだ。」
「あ、うぅ、はい。」

 私はすごく屈辱的な気持ちになって、すでに泣きそうでした。ですが、逆らうことなんて出来なくて、空腹のあまり力の入らない身体を引きずるように四つん這いで彼に続きました。そして、リビングにたどり着くと、私は朝食を食べる彼の足元に正座をさせられます。

 ――グゥゥゥ……。
「あっ……。」

 美味しそうな匂いに反応して、私のお腹が鳴ります。私は恥ずかしさのあまり赤面して俯きました。

「なんだ、腹が減ったか。食いたいか?」

 私はその一言に敏感に反応して、頷きます。丸一日は何も食べていなかった私はあまりにもお腹が空いていました。すると、彼は足元のフローリングにコップの水をぶち撒けました。

「ほら、舐めろ。手は使うなよ。」
「え……?あ、は、はい……。」

 一緒思考をフリーズさせながらも、命令の意味を理解した私はおずおずと舌を伸ばして、床の水溜りを舐め始めます。ボロボロの体で食事を抜かれたら倒れてしまいそうでしたし、何より逆らって昨日みたいな目にまた会うのではと思うと、涙が込み上げてきて、とても出来ませんでした。

「んっ、ぴちゃっ……ちゅ、ずずずっ……。」

 私は一心不乱に床を舐めます。乾いた喉に新鮮な水が染み込んで、屈辱よりも嬉しさが優ってしまいます。

「ほら、追加だ。」

 彼は床の水たまりが小さくなってくると、さらにスクランブルエッグやトーストの切れ端などを床に落として、足で踏み潰してぐちゃぐちゃにしました。普通なら、こうなったものは食べ物でなく、生ゴミでしょう。しかし、今の私にとっては唯一の食事なのです。

「あ、ありがとう……ございます……。」
 
 私は小さな声でお礼をして、床に散らばった食事に口をつけました。
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