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闇夜を彩るアラベスク
第6章 おとめ座の男
「しかしなんだねえ、若いってのにこんな店で燻って勉強ばかりじゃ息も詰まるだろ…
そうそう、これさあ、商店街の福引きの余りもんだけどさ、映画でもみて気分転換してきなよ」
喫茶店のマスターは、陰気臭い淳之介に居座られては客足が遠のくとばかりに、彼をさっさと追い払ってしまおうと、ポケットからくしゃくしゃになった映画の招待券を淳之介に渡してやんなと茜に握らせた。
「マスターが気晴らしにどうぞって」
茜はマスターから手渡されたくしゃくしゃの映画の招待券を淳之介に差し出した。
それは近ごろ評判の話題作のペアチケットだった。
「気持ちはありがたいけれど…今は映画を観る気分じゃないし…それに、ペアチケットなんて貰っても一緒に来てくれる友達もいないからさ」
そう言って差し出されたペアチケットを茜に突き返した。
「じゃあさぁ、茜ちゃんを連れていって頂戴よ」
マスターは何がなんでも、この辛気臭い貧乏神のような淳之介を店から追い出したくて仕方なかった。
「えっ?私?」
なに言ってるんですか!私まだバイト中なんだし…
茜はマスターの悪い冗談だと思った。
「いやいや、茜ちゃんは毎日頑張ってくれてるからさ、ボーナス代わりだよ。今日はもうバイトをあがっていいからさ、淳之介くんを連れ出してやりなよ」
ははぁ~ん、マスターは僕を追い出したくてしかたないんだな…
いくら鈍感な淳之介でもマスターのミエミエの態度に「じゃあ…茜ちゃん…デートしよっか?」と重い腰をあげた。

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