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2026 人質交換を託された女 (中編)
第3章 レンガ
目を覆ったまま、捜査員は動かない。
瞼の裏には、ある光景が焼き付いていた。
赤い縄。
その縄に、吉村が沈んでいく。
――見たことがない。
これまでの現場。
拘束。
確保。
そのどれとも違っていた。
あのとき、吉村は口を動かしていた。
音声は届かない。
だが――
唇の動きだけで、意味は読み取れた。
『こんなの絶対に解けない』
『でも諦めない』
『ロストしないで』
『犯人は6人』
目を覆ったまま、男の眉がわずかに動く。