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『間違い』電話
第7章 『誤想』
「麻里……話を…」


「ない…出来ない……」


頭を激しく左右に振り、髪型ボサボサに乱れる。


身綺麗にしてる、普段の姿からは想像出来ない様相になってきた。


「落ち着けよ…お茶でも淹れるから…」


そう言いながら、床にひっくり返った袋を拾おうとした。


「…出る……しばらく…ここを出るわ…」


「え……何で…急に」


「賢…ごめん…」


麻里はバッグとジャケットを慌てる様に掴み、玄関に向かって行く。


「待てよ麻里っ!あっ!」


転がったままの指輪が入った袋に、麻里の足がぶつかり。


グシャ…


踏まれて…端が潰れた。


その感触に麻里は、一瞬止まるが


「ごめん…バイバイ…」


震える声で言い放ち…


「麻里っ!待てよっ!」


バタンッ!


あっという間に…出て行ってしまった……。


「……う…そ…だろ…」


呆然とする頭をゆっくりテーブルに向けると…


ベージュの封筒が…


笑っている様に…


見えた。

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