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『間違い』電話
第7章 『誤想』
プルルルル…


あれから何回か電話を掛けるが、留守電にもならない。


「はぁ…何処に行ったんだ…」


実家は離れているから、仕事場の近くのビジネスホテルとかか…。


明日、出先から麻里の支社に寄ってみるしかない…。


「はぁ…」


割れた花瓶を片付け始める。


「痛っ!」


小さな欠片が指先に刺さり、赤い液体が小さく浮いてきた。


少しずつ溢れて…垂れ落ち…


ジワジワと染みの様に、広がった…。


花瓶の底の部分が、綺麗な三日月形に欠けている。


やり場の無い怒りが、一気に沸き上がってきた。


「クッソ…」


血が滲む手を強く握り、歯を食いしばって膝に顔を埋める。


何で、こうなったんだ…。


何で、ここまでなったんだ…。


何処かに正当化する答えを探し出そうとしても、出せない答えに余計、苦しくなっていく…。


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