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『間違い』電話
第9章 『調理』
「あれ?野上さん、お弁当なんて珍しいですね!」


久々に、オフィスのデスクで昼食を摂っている俺に、女子社員がお茶を淹れてくれた。


「有難う…今日は作って貰ったんだ…」


「へぇ~野上さんが手作りのお弁当持って来てるの初めて見ますよ~凄い凝ってますね!」


「はは…そうだね…料理…好きだから…」


その料理好きは、尚子の事だけどな…。


朝飯だけじゃなく、弁当まで用意してあった。


品数も多くて色彩も綺麗だし…何より旨い…。


一口食べる度に優しい味付けに、今朝も感じた妙な感覚が胸に広がる。


いつ…作ったんだ…。
何で…ここまでするんだ…。

麻里でさえ、ここまでしてくれた事は無い…。


カチャカチャ…


食べ終わって、弁当をしまう。


午後は一ヶ所だけ外回りの予定だ…。


「今日…NRで…」


「野上~、もう出るのか~?」


田沼の声を掛けに


「あぁ…後頼むな!」


ホワイトボードに書き込み、いそいそと出掛けた。 


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