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『間違い』電話
第11章 『誘導』
翌日…

宏実との『約束』の日。


南口に鉄道グループ会社のホテルがある。


少し高めだが、尚子の時みたいに安めのラブホよりは、如何わしさは無い。


16時を過ぎた頃…


ガガガガガガ…


置いていたスマフォの振動が、テーブルのガラスを弾く。


宏実だ…。


ドックン…


いよいよだ…。


スマフォに手を伸ばし…ディスプレイを見詰める。


『兼子宏実』




いいんだ…これで…


俺たちは…『間違い』ではない…。


宏実さえ、元の位置に戻れば…
必然と旦那も…
尚子も…
俺も…


元の鞘に収まるんだ…。


そして…宏実と俺が一線を越えたところで…被害者は居ない。


尚子の旦那とは違うし…
何よりそれを望んでいるのは、誰でもなく
『尚子』だ。


今更の様に自分に言い聞かし…


通話ボタンに…指を添えた。


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