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『間違い』電話
第11章 『誘導』
俺は立ち上がり…宏実の隣に座る…。


ミシ…小さく、ソファーが軋む音を鳴らす。


「宏実さん…貴女みたいに素敵な人なら…直ぐにまた出会いがありますよ…」


「え……」


俺は宏実の肩を引き寄せて…


「なんなら…少しの間でも…僕を代わりにして貰ってもいいですし…」


我ながら臭い台詞を吐きながら、胸の中に宏実を抱き込んだ。



「野…野上さんっ!何を…」


「何を…そうですね…僕も貴女の花の香りに引き寄せられたのかもしれない…」


調子づいてきたのか、更に胡散臭い台詞が自然と口を衝く。


「野上さん…止めて…」


「止めませんよ…」


ここまで来たら、ソファーでもいいかな…。


少し抵抗する宏実に、畳み掛ける様に


「家庭に戻っても…岩村さんとの関係を続けても…宏実さんが本当に笑える場所はあるんですか?」


「あっ……それは…」


動きが止まった…。

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