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『間違い』電話
第11章 『誘導』
「宏実さん…岩村さんの気持ち…解ります…」


「野上さん…?」


「もし…僕も…岩村さんと同じ立場で宏実さんに出会ったら……一緒の事をしたと思います…」


「あ…そんな…」


宏実は目を見開いて、同様している。


「でも…現実は…岩村さんが僕より貴女に先に出会ってしまい…『不倫』関係になってしまった…」


「………すみません…」


出来るだけ、宏実の罪悪感を煽り立てる。


「僕は…岩村さんの奥さんからたまたま相談受けただけです…誰が一番被害者か…解りますよね…宏実さん?」


宏実は唇を結び、目を横に泳がせた。


「岩村さんは…可哀想な貴女に同情して…親しくなって…助けてあげたくなった…男なら…そう思います…」


「は…い…」


「宏実さんの優しさに触れて…一瞬…現象から逃げたくなってしまった様な気がするんですが…」


「はい…」


「なら…宏実さんが、岩村さんを現実に返してあげないと…岩村さんと奥さんは…一生消えない苦しみを背負いますよ…」


「は…い……」


止めどなく涙を流しながら、宏実は俯いた。



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