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『間違い』電話
第16章 『報復』
「尚子…話しを戻すけど…旦那は…」


尚子は珈琲カップを差し出しながら


「旦那…さぁ…何処かしら?」


ゾクリ…何て…言った?


「何処かしらって…何処へやったんだ?」


俺の言い方に尚子は一瞬動きが止まり、目を真ん丸くして


「ぷ…ふふ…やだ賢…あんなガタイの大きいの何処にも持って行けないわよ…」


いちいち尚子の言葉に含みを感じて、変な想像ばかり頭に過ぎってしまう。


「何処かしらって…どういう意味だよ」


尚子は俺から少し離れた位置に座り


「娘から…一昨日メールが来たのよ…」


「え…?娘から…」


そうだ…尚子には20歳くらいの専門学校に通う娘がいたんだ。


「メールには…急な転勤で…長野に行ったって…」


「長野に…」


「そう…だから一人で帰って来ても大丈夫だったの…」


カップを両手で包む様に持ち、ジッと珈琲を見詰める尚子の目は何処となく虚ろに見えた。


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