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『間違い』電話
第16章 『報復』
結局その日は尚子に夕飯を作って貰ってそのままマンションに帰った。


尚子は


「賢…今日、泊まっていく?旦那のベッドで良ければ空いてるし…」


そう聞かれたけれど、色んな事があり過ぎて正直一人になりたかった。


「いや…帰るよ…部屋も朝出たまんまだし…」


そうだ、麻里を風呂場で発見したまま…
着るもの着て出てきた感じだったしな。


会社は念の為、上司に連絡して明日も休みを貰っておいた。


「そう…気を付けてね…」


「あぁ…尚子も…久々の家でゆっくり眠れるだろ?」


最近は俺の所に頻繁に来ていたが、やはり長年住んでいた家が一番落ち着くもんだ。


「えぇ…やっと……ゆっくり寝れるわ…」


「え…?」


「結婚してから…安住なんて言葉…無いって思ってた…」


「尚子…」


それは…どういう…。


黙って立ち尽くす俺に尚子は


「お休み…賢…またね」


「あぁ…また…連絡する…」


尚子のアンニュイな表情が気になったが…

麻里の事も、宏実の事も話せないで終わった。


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