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第16章 『報復』

尚子や宏実に 暴力を振るっていたのは許せないが、今岩村に会っておいた方が良い様な気がしてならなかった。


さっきの二人に話し掛けようとすると…


「岩村さんてさ…こないだ解雇された岩村さんでしょ…」


な…『解雇』だって！？


俺は咄嗟に二人からなるべく死角になる位置に移動した。


「そうだよね…会社中や取引先にまで…不倫現場の画像が届いて…社長始め役員も相当ご立腹だったみたいだよ…」


ドックン…ドックン…


緊張感で脈拍が早まる。


誰も居ないと思っていたのか、感情的になっていて声はかなりエントランス中に響いていた。


「そりゃぁそうよ…私たちも同じ目で世間から見られるかもしれないわよね…」


「いい迷惑よね…下の緩い男のせいで…」


「本当よ…家庭もあるのに…不倫なんて本当に最低よね…」


『不倫』は…最低…。


一般常識だ…。


その岩村の『不道徳』が…暴かれた…。




それは…


誰がしたんだ？