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『間違い』電話
第16章 『報復』
ドックン…ドックン…


心臓が大きく脈打つ…


ポンプで押し出されて行くものは…


赤いものではなく、まるで黒く染められて…
身体を鉛の様に重くする。


「はぁ…はぁ…」


ビルの外は生温かい空気がこもり、 肌にねっとり纏わり付いてきた。


なんだか妙に息苦しい…。


駅に向かうとビルの谷間から紅に染まりだし…
まるで自分の行く末を暗示しているかの様だった。


「最後は…俺…なのか?」


確実に…一人ずつ…消されていく…。


何でだ…?


彼女の目的は…なんなんだ?


不倫した旦那への報復?
旦那の不倫相手への復讐?
不倫相手の旦那への復仇?
その共犯者への警告?


汗ばむ手のひらを食い入る様に見る。


『間違えました…』


彼女の声が反芻した。


俺たちの犯した『間違い』の終局は…

最初から用意されていたのかもしれない…。


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