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『間違い』電話
第16章 『報復』
尚子に頼まれた通り、お酒は徳利一本だけにしておいた。


食事を片付けて貰って、少し早目に布団も用意して貰う。


「ごゆっくり…」


中居が部屋から出て行くと、尚子は俺の懐に飛び込んできた。


「賢〜!いっぱいしよ!」


「いっぱいって…俺そんな若くないからさ…」


「じゃぁ…ねっとり系でいいわよ」


「ねっとり系って…」


まぁ、女性の方から積極的に誘われるのも悪くはないけど…
なにせ相手は尚子だ。


まだ頭の片隅で…シグナルが点滅している気がした。


「おいで…尚子…眠らせないよ…」


「ふふ…本当に〜?」


俺は尚子を背中から抱き締めて、足並み揃えて布団が敷かれた部屋に移動する。


リズムが合わなくて、足が絡まり尚子が転けそうになった。


「きゃぁ!」


「危ないっ!」


二人して倒れこむ様に、布団に膝を付く。


「あははは〜!もう〜危ないよ〜!」


「尚子が急ぐからだろ!」


まるで茶番劇みたいに、無駄にはしゃいだ。


仲が良さげに見せ掛けたって、所詮俺たちは世間からしたら…


『不倫』なんだ。


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