パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第16章 『報復』

何となく花に見入っていると、尚子が笑顔で浴衣を差し出してきて


「賢も温泉入ってきたら…その間に料理用意して貰うから」


「あぁ…そうするよ。温泉に浸かってサッパリしてくるか」


「うん…お酒は昨日と同じでいい？」


「日本酒？同じでいいよ…尚子も飲むだろ？」


「うん…でも…今日はのむの…少しにして欲しいな…」


「え…少し？」


浴衣を受け取る手に、尚子の手が重ねられ…


「旅の思い出に…夜…したいもん…」


頬をほんのり赤らめて…
夜の情事のお誘いを掛けてきた。


「あ…あぁ…そっか…」


改めて言われると、照れ臭くなるな。


「もう〜こんな事、女の口から言わせないでよ！」


尚子は浴衣の袖で顔を隠した。


「分かったよ…今日は頑張るからさ！」


冗談ぽく言って、尚子を抱きしめる。


「もう〜！賢ったら…」


取り敢えず背中に回された手は、俺への『報復』は起こさないんだと安堵した。


麻里の事や、宏実の事を思うと罪悪感も湧くが、ほんの数時間尚子を満足させれば、安全は確保されるとの『保身』と…


尚子も寂しいんだろうな…


との『同情』が、胸を過ったんだ。