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『間違い』電話
第16章 『報復』
「ふふふ…股間の痛みも麻痺してきたでしょ…朝鮮朝顔は昔は医療で麻酔にも使われていたの…」


「はぁ…はぁ…」


呼吸をするのがやっとで、もう何も言えなかった。


いっその事…このまま死んだ方がいいのかもしれないとさえ思えてくる…。


現実に戻った所で、虚しさしか残っていない…。


俺は一体…今まで何をしてきたんだ?


たった一本の『間違い電話』が


俺をどうしようもなく愚かな人間だと知らしめた。


もう意識が消え掛ける俺に尚子は餞別の様に語り出す。


「私はね…いっぱい…いっぱい…我慢して…頑張ったのに…人の人生…簡単にコケにした…お前たちが悪い…」


尚子を動かした原動力は…
単純に『悔しかった』だけなのかもしれない。


子どもがオモチャを取られた時の様に…
頑張ったのに褒めて貰えなかった時の様に…


「尚子…」


薄れる意識の中で…最後に尚子の名前を呼ぶ…


霞む視界には、赤い三日月だけが朧げに見えた。


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