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『春のほどけ …戻れない距離』
第2章 「卯月」―揺れと否定
2
「あ、弥生、おはよう、ウチの旦那ね…」
「初めまして…」
「あ、いつも、うちのめいと純がお世話になっているようで…」
丁寧に、めいの旦那さまが、そう、返してきた。
背が高く…
物腰の柔らかい、優しそうな笑顔。
だけど、わたしの心は一気に揺れ…
一瞬、脚が、震えた。
「あら…きれいな桜……」
今日の入学式…
散らす雨も降ったのに、ギリギリ持ちこたえ…
穏やかな風に、舞っていた。
「さ、行きましょう…」
旦那さまは、そう言いながら…
めいと、わたしをも、入学式式場へとエスコートしてくれた。
だが、わたしには…
その彼の、柔和な笑顔のメガネの奥が…
一瞬、冷たく光って、見えた気がした――
「えぇ、ウソみたいねぇ…
同じクラスになれたなんてさぁ…」
と、めいは、嬉しそうに、わたしにハグして、指を絡めてくる。
「うん、良かったぁ…」
それは、本当に、嬉しい…
そして、また、明日からがより楽しくなりそうにも、心が高まる。
「弥生さん…」
「はい…」
「これからも、よろしく、仲良くしてくださいね」
すると、旦那さまも、そう、笑顔で言ってきた。
「は、はい、こちらこ……そ……」
その時…
「あ、肩に髪の毛が………」
わたしの肩の、抜けた一本の髪の毛をつまみ上げ…
「真っ直ぐで、長くて、きれいな黒い髪の毛…ですねぇ……」
と、その髪の毛を見つめ、そう呟いてきた。
「……ぁ…す、すいま…せ……ん………」
「うん、きれいな髪の毛だ…
ほら、うちのめいのヤツは、イタズラに明るく染めて…それにショートだから……」
「え……ぁ、は、はい………」
わたしは、その旦那さまの物言いに…
なんとなく、違和感を感じ…
いや、背筋が、一瞬、震えてしまう。
「ねぇ、本当に…
黒くて、長い、きれいな髪の毛ですね……」
「…あ、は、はぁ……」
「でもね…なぜか……」
「…………」
「最近ね、ウチのベッドの枕元にもね……」
息が、止まりそう…
「よく、何本か、落ちてるなぁ…て………」
「…………」
「すぅぅ……」
「…………」
「それに、たまに…似た香りも………」
視線が、逸れず…
冷たく、見つめてきた―――
「あ、弥生、おはよう、ウチの旦那ね…」
「初めまして…」
「あ、いつも、うちのめいと純がお世話になっているようで…」
丁寧に、めいの旦那さまが、そう、返してきた。
背が高く…
物腰の柔らかい、優しそうな笑顔。
だけど、わたしの心は一気に揺れ…
一瞬、脚が、震えた。
「あら…きれいな桜……」
今日の入学式…
散らす雨も降ったのに、ギリギリ持ちこたえ…
穏やかな風に、舞っていた。
「さ、行きましょう…」
旦那さまは、そう言いながら…
めいと、わたしをも、入学式式場へとエスコートしてくれた。
だが、わたしには…
その彼の、柔和な笑顔のメガネの奥が…
一瞬、冷たく光って、見えた気がした――
「えぇ、ウソみたいねぇ…
同じクラスになれたなんてさぁ…」
と、めいは、嬉しそうに、わたしにハグして、指を絡めてくる。
「うん、良かったぁ…」
それは、本当に、嬉しい…
そして、また、明日からがより楽しくなりそうにも、心が高まる。
「弥生さん…」
「はい…」
「これからも、よろしく、仲良くしてくださいね」
すると、旦那さまも、そう、笑顔で言ってきた。
「は、はい、こちらこ……そ……」
その時…
「あ、肩に髪の毛が………」
わたしの肩の、抜けた一本の髪の毛をつまみ上げ…
「真っ直ぐで、長くて、きれいな黒い髪の毛…ですねぇ……」
と、その髪の毛を見つめ、そう呟いてきた。
「……ぁ…す、すいま…せ……ん………」
「うん、きれいな髪の毛だ…
ほら、うちのめいのヤツは、イタズラに明るく染めて…それにショートだから……」
「え……ぁ、は、はい………」
わたしは、その旦那さまの物言いに…
なんとなく、違和感を感じ…
いや、背筋が、一瞬、震えてしまう。
「ねぇ、本当に…
黒くて、長い、きれいな髪の毛ですね……」
「…あ、は、はぁ……」
「でもね…なぜか……」
「…………」
「最近ね、ウチのベッドの枕元にもね……」
息が、止まりそう…
「よく、何本か、落ちてるなぁ…て………」
「…………」
「すぅぅ……」
「…………」
「それに、たまに…似た香りも………」
視線が、逸れず…
冷たく、見つめてきた―――

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