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エロ本を拾っただけなのに2 ~熟母・香代子~
第22章 《20年ぶりの報せ》
「嘘よ……そんな、だって私、もう43よ……!?」
震える足でマンションを飛び出した香代子は、近所ではなく、わざわざ電車に乗って隣町のドラッグストアへ向かった。
帽子を深く被り、逃げるように妊娠検査薬を購入すると、自宅のトイレに駆け込んでセルフ診断を行った。
尿をかけ、判定窓を見つめる。
ほんの数十秒の沈黙の後、白い窓に、残酷なまでにくっきりと「2本の赤い線」が浮かび上がった。
「あ……あぁ……っ」
検査薬が手から滑り落ち、カランと虚ろな音を立てる。
現実を受け入れられない香代子は、その足でさらに遠くの産婦人科クリニックへと向かった。更年期の異常かもしれない、何かの間違いであってほしい。そんなすがるような思いは、内診台の上で完全に打ち砕かれた。
『おめでとうございます。妊娠8週目に入ったところですね』
初老の医師が、エコー写真を見せながら穏やかに告げた。
『ご年齢的に少しリスクはありますが、赤ちゃんの心音も力強く確認できますよ。ご主人も、きっと喜ばれるでしょう』
待合室のソファにへたり込み、香代子はエコー写真を握りしめてガタガタと震えていた。
娘の優香は今、妊娠6ヶ月。そして自分は今、妊娠3ヶ月目。
母と娘が、同時に同じ男の子どもをお腹に宿している。最初は、そのあまりにも常軌を逸した現実に、絶望と不安で目の前が真っ暗になった。
しかし――。
震える手で、もう1度エコー写真の黒い袋を見つめた瞬間。香代子の胸の奥底で、ドス黒くも甘い感情が、じわじわと湧き上がってきた。
(私のお腹の中に……聡さんの、赤ちゃんが……)
優香は、聡の子を身籠っていることで「正妻」としての絶対的な優位に立っていた。聡の愛情を独占し、香代子をただの「愛人」に留めていた最大の壁。
だが今、自分も全く同じものを手に入れたのだ。ただ日陰で抱かれるだけの存在ではなく、娘と同じ「聡の血を分けた子を宿す女」へと昇格したのだ。
(やっと……優香と同じになれた。私も、あの人と本当に結ばれたのね……)
社会的な破滅への恐怖は、いつしか狂気じみた歓喜へと反転していた。
香代子はエコー写真を愛おしそうに胸に抱きしめ、誰もいない待合室の片隅で、ふふっ、と恍惚とした笑みをこぼした。
震える足でマンションを飛び出した香代子は、近所ではなく、わざわざ電車に乗って隣町のドラッグストアへ向かった。
帽子を深く被り、逃げるように妊娠検査薬を購入すると、自宅のトイレに駆け込んでセルフ診断を行った。
尿をかけ、判定窓を見つめる。
ほんの数十秒の沈黙の後、白い窓に、残酷なまでにくっきりと「2本の赤い線」が浮かび上がった。
「あ……あぁ……っ」
検査薬が手から滑り落ち、カランと虚ろな音を立てる。
現実を受け入れられない香代子は、その足でさらに遠くの産婦人科クリニックへと向かった。更年期の異常かもしれない、何かの間違いであってほしい。そんなすがるような思いは、内診台の上で完全に打ち砕かれた。
『おめでとうございます。妊娠8週目に入ったところですね』
初老の医師が、エコー写真を見せながら穏やかに告げた。
『ご年齢的に少しリスクはありますが、赤ちゃんの心音も力強く確認できますよ。ご主人も、きっと喜ばれるでしょう』
待合室のソファにへたり込み、香代子はエコー写真を握りしめてガタガタと震えていた。
娘の優香は今、妊娠6ヶ月。そして自分は今、妊娠3ヶ月目。
母と娘が、同時に同じ男の子どもをお腹に宿している。最初は、そのあまりにも常軌を逸した現実に、絶望と不安で目の前が真っ暗になった。
しかし――。
震える手で、もう1度エコー写真の黒い袋を見つめた瞬間。香代子の胸の奥底で、ドス黒くも甘い感情が、じわじわと湧き上がってきた。
(私のお腹の中に……聡さんの、赤ちゃんが……)
優香は、聡の子を身籠っていることで「正妻」としての絶対的な優位に立っていた。聡の愛情を独占し、香代子をただの「愛人」に留めていた最大の壁。
だが今、自分も全く同じものを手に入れたのだ。ただ日陰で抱かれるだけの存在ではなく、娘と同じ「聡の血を分けた子を宿す女」へと昇格したのだ。
(やっと……優香と同じになれた。私も、あの人と本当に結ばれたのね……)
社会的な破滅への恐怖は、いつしか狂気じみた歓喜へと反転していた。
香代子はエコー写真を愛おしそうに胸に抱きしめ、誰もいない待合室の片隅で、ふふっ、と恍惚とした笑みをこぼした。

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