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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第109章 生贄のプロローグ ―汚されたルージュ、奈落への署名―
午後2時を少し回った頃、澪のデスクの固定電話が鳴った。
「はい、鴫原です……」
受話器を取る澪の指先は、微かに震えていた。一瞬にしてその表情が緊張と恐怖に強張るのを、雄一は離れた席から痛々しいほどに見つめていた。受話器の向こうから聞こえてきたのは、あの真壁の声だった。
『澪さん。今夜からの約束、忘れていないよね?』
耳元に届く若く傲慢な男の声に、澪の心臓は嫌な音を立てて跳ね上がった。本当なら行きたくない。嫌で嫌で仕方がない。あの真壁の元に行けば、これからの3日間、強引すぎるセックスで骨の髄まで貪り尽くされ、セックス漬けの毎日に落とされるのは分かりきっている。しかし、あの悪夢のような夜、ゲームの勝者となった真壁は、澪の週末独占権を勝ち取ってしまっているのだ。今の自分には、どうすることもできない。
「……ええ。ちゃんと、分かっています、真壁さん」
何とか声を絞り出す澪に、真壁は愉しげに告げる。
『良かった。前に言った通り、僕のマンションの部屋でずっと過ごしてもらいますからね。今日の6時半に、会社の近くまで車で迎えに行きます。すぐ乗れるように待っていてくださいね。どんな姿で現れてくれるか、今からすごく楽しみですよ』
「はい……。遅れないように、待っていますね……」
逃れられない決定的な宣告を受け、受話器を置く澪の手からすっかり体温が消えていた。澪は深く息を吐き出して震えを抑えようとしたが、胸の奥から湧き上がる絶望と苦悩はどうしようもなかった。
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