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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第23章 二度目の蹂躙
しかし、その瞬間であった。
「……っ、嫌、……っ!!」
意識が混濁し、絶頂の雷打によって廃人のようになっていたはずの澪が、まるで火がついたように、激しく、烈火のごとく顔を背けたのである。
「往生際が悪いんだよ! 身体はこんなに俺を求めて、ナカは俺のモノをガッチリと締め付けて離さねぇくせによぉ!」
鬼頭は苛立ちを露わにし、さらに強引に彼女の顎を掴んで固定しようとした。指先が彼女の柔肌に食い込み、強引に自らの顔へと向けさせようとする。しかし、澪は涙を流しながら、残された全ての気力を振り絞って首を振り、頑なに唇を許さなかった。
「い、嫌っ……! だ、だめ……。それ、だけは……絶対に、……絶対にっ!!」
「いい加減にしろ! これだけ俺に突かれ、自分から腰を振って潮まで吹いた女が、今さら何を惜しむことがあるんだ! 唇の一つや二つ、くれてやればいいだろうが!」
鬼頭の罵声に対し、澪は途切れ途切れの声で、しかしはっきりとした、魂の芯からの拒絶を吐き出した。
「……っ、か、……からだは、……あなたの、……暴力に、……負けてしまったけれど……っ。唇だけは……、雄一さんとの、……愛の、約束だから……っ。……死んでも……あなたには、渡さない……っ!!」
それは、肉体の裏切りを自覚しながらも、心だけはまだ自分のものだと叫ぶ、澪の最後の抵抗だった。二度目のキスを拒むその必死な拒絶こそが、彼女が人間としての尊厳を保つための唯一の砦だった。
「澪……っ!!」
ファインダー越しにその光景を凝視していた雄一の胸に、熱いものが込み上げた。 どんなに肉体が陵辱され、快感の前に無残に屈服し、激しく潮を吹くという醜態を晒してしまったとしても。彼女は一番大切な場所――結婚式のあの日、生涯の愛を誓って重ねた唇だけは、死んでも渡さないという意志を貫き通したのである。
それは、この地獄のような部屋の中で、雄一が唯一感じることができた、澪からの命懸けの「愛の証」であった。
「……っ、ああ、澪……! ありがとう、ありがとう……! 僕は信じてる、君の心はまだ僕のところにあるんだね……っ!!」
雄一はレンズを濡らす涙をそのままに、妻が守り抜いた最後の「牙城」に、狂おしいほどの愛おしさを覚えていた。
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