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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第28章 晒された交わりの証
静寂が訪れてからも、雄一は憑かれたように壁に耳を押し当て続けていた。耳の奥には、先ほどまでの澪の絶叫と、肉がぶつかり合う悍ましい音が残響のようにこびりついて離れない。
五分、あるいは十分が経過しただろうか。その重苦しい沈黙を破ったのは、鬼頭の低く掠れた話し声だった。くぐもった音の壁に阻まれ、正確な言葉の内容までは聞き取れない。だが、何かを命じるような、あるいは服従を慈しむような支配的な響きを帯びていることだけは理解できた。続いて、澪の力ない、しかしどこか充足を孕んだような吐息が混じった気配が伝わってくる。
やがて、向こうの部屋で誰かが立ち上がり、衣擦れの音がした。規則正しい足音が廊下へと続き、雄一の部屋の前で止まる。
――コン、コン。
静かな、だが拒絶を許さない力強いノックの音が響いた。
雄一はびくりと肩を震わせ、金縛りにあったように動けなくなった。しかし、沈黙が続くと再び、先ほどよりも鋭く短いノックが繰り返される。彼は重い足取りでドアへと向かい、震える手でノブを回した。
ドアを開けると、そこには鬼頭が立っていた。
雄一は思わず息を呑んだ。目の前の男からは、ついさきまで澪を抱き、その肢体をむさぼり尽くしていた形跡が隠しようもなく溢れ出していたからだ。
整えられていたはずの髪はわずかに乱れ、額には薄っすらと滲んだ汗が昼の光を反射している。浴衣の合わせはどこか崩れ、男特有の猛々しい熱を帯びた匂いと、それに混じって、澪の肌の匂いと香水の甘い香りが「残り香」としてむわっと鼻腔を突いた。妻を蹂躙した証が、暴力的なまでの色香となって雄一を打ちのめす。
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