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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第39章 そばにいる覚悟
「……わかってる。わかっているんだ、澪。君が、僕たちのために、どれほど辛い思いをしているか……」
雄一は床に膝をつき、澪を強く抱きしめた。彼の鼻を突く「生臭い」男の残り香。それが、愛する妻が今まさに、別の男の欲望に晒されてきた証拠であることを突きつけてくる。雄一の胸にも、耐え難い屈辱と無力感が渦巻いていた。だが、それ以上に、ボロボロになって帰ってきた妻への愛しさが、彼の心を支配していた。
「僕が……僕が情けないばかりに、君をこんな……。ごめん、澪。ごめん……」
「違うの……雄一さん。私が、私がいけないの……」
二人は、借金返済の猶予と引き換えに鬼頭と結んだ過酷な契約、そして次々と突きつけられる理不尽な要求という逃れられない連鎖の中で、互いに許しを乞うように抱きしめ合った。澪の身体には、まだ鬼頭の感触が熱を持って残っている。しかし、雄一の必死な抱擁は、彼女が紛れもなく「鴫原雄一の妻」であることを強く再認識させ、その心を現実の世界へとしっかりと繋ぎ止めていた。
澪は、震える声で真実を話し始めた。鬼頭のマンションに連れていかれ、シースルーランジェリー姿の撮影を強要されたこと。そしてその後、逆らえず、やむなく鬼頭に抱かれたこと。さらに、袋の中の白いレースが持つ、残酷な意味についても。
「……神楽坂という商談相手の人が、これを着て自分の前に現れろって。そうして、その姿を自分に見せない限り、金曜の本契約は結ばないって脅されたの。だから、明日の商談には、これを持っていくしかなくて……」
雄一は、妻の告白を、自分の心臓を素手で握りつぶされるような思いで聞いていた。だが、彼は冷静だった。この商談が成立しなければ、鬼頭の会社は窮地に陥り、それは自分たちの借金返済猶予が白紙に戻ることを意味する。逃げ道はないのだ。
「……澪。わかった。その商談、君を一人で行かせはしない」
雄一は顔を上げ、静かだが決然とした光を宿した瞳で澪を見つめた。
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