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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第95章 女体の摂理がもたらす刹那の静けさ
クリニックを出た二人の上に広がる夕暮れの空は、先ほどまでとは打って変わって、どこか穏やかな色を帯びているように見えた。
こうして、目の前に迫っていた最大級の破滅から免れた夫婦には、週末まで、久方ぶりの平穏な日々が訪れることとなった。
その日から数日間、神楽坂からの3Pプレイの誘いもなく、鬼頭からのセックスの要請も、ぴたりと鳴りを潜めた。仕事が終われば、二人は寄り添うようにして真っ直ぐに自宅へと帰り、お互いの存在を確かめ合うように静かな時間を過ごした。澪を性欲のはけ口とした男たちによって擦り切れるまで追い詰められていた二人の心と身体は、この一時の猶予によって、ようやく少しずつ息を吹き返すことができた。
もちろん、これがただの「嵐の前の静けさ」に過ぎないことは二人の胸に重く突き刺さっていた。生理の1週間が過ぎれば、またあの過酷な愛人契約の現実が、鬼頭の執拗な中出しとキスの要求が、そしてゲーム勝者の真壁からの容赦ない欲望が、再び牙を剥いて襲いかかってくることは火を見るより明らかだった。
それでも、今この瞬間だけは、誰にも邪魔されない夫婦だけの神聖な時間が流れていた。迫り来るさらなる深い地獄を前に、二人は手を取り合い、手に入れた微かな平穏を、壊れやすい硝子細工を扱うかのように、大切に、大切に守り続けるのだった。
約束されていたはずの地獄の週末は、奇跡的な生理の到来によって、かけがえのない家族の時間へと姿を変えた。
土曜日と日曜日の昼間、雄一と澪は、愛娘の紬を連れて賑やかな遊園地へと出かけた。青空の下で無邪気に笑い、おねだりをする紬の小さな手を、二人は両側からしっかりと握りしめていた。美味しいものを食べ、他愛のない会話に声を上げて笑う。その光景は、どこにでもある、そして何よりも幸せな、絵に描いたような美しい家族の姿そのものだった。男たちの悍ましい欲望も、不条理な契約も、この瞬間だけは遠い世界の出来事のように思えた。
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