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キモおじ ~もう一つのエロ本を拾っただけなのに~
第5章 《あの日からの渇き》
──【3ヶ月前】

(あぁ……私……ずっと、あの日からこれを……)

掌から伝わる、規格外の熱と硬さ。そして部屋に充満する、むせ返るような濃厚な牡の匂い。
香代子の脳裏に、二年前のあの春の日――優香の部屋で初めてあの匂いに気づいたあの日からの出来事が、走馬灯のように駆け巡っていた。

   ◇

発端は、二年前の春。何気ない日常のひとコマだった。
掃除のために足を踏み入れた娘の部屋で、香代子は「異臭」に気がついた。
ツンとするような、独特の生臭い匂い。ゴミの匂いではない。それは、生命力に溢れた濃密な「男の精」の匂いだった。

(どうして……優香の部屋から、こんな匂いが……?)

香代子と夫との夫婦生活は、とうの昔に途絶えていた。
しかし、だからこそ。二年の間、長年「女」として放置され、枯れかけていた香代子の身体は、その強烈な牡の匂いに酷く敏感に反応し続けてしまった。
ゴミ箱を探っても、怪しいティッシュなどの痕跡は一切見つからない。娘は何かを隠し、巧妙に証拠を消している。
物理的な証拠がないからこそ、得体の知れない不安と、それに相反するような牝としての興味が抑えきれなくなる。
だからこそ香代子は余計に気になり、ある日から優香の登下校のあとをつけるようになった。

それが、この蜘蛛の巣へと自分を導く決定的な原因になるとも知らずに。
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