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キモおじ ~もう一つのエロ本を拾っただけなのに~
第6章 《絶望の種明かし》
──【2023年 3月10日】

「あ……うぁ……」

絶望のあまり膝から力が抜け、優香は廊下の床に崩れ落ちた。
目の前には、見知らぬ冴えない中年男と、その男の「生命の素」を股間から滴らせ、だらしなく微笑む全裸の母親。
逃げ場など、最初からどこにもなかったのだ。自分がすべてを委ねようとしていた「聡さん」も、絶対に自分を守ってくれるはずの「家族」も、すべてが幻だった。

「優香、そんなに泣かないで。大丈夫よ、心配することなんて何もないんだから」

香代子は床にへたり込む優香の前にしゃがみ込むと、まるで幼子をあやすように、優しくその身体を抱きしめた。

「ひっ……!」

制服越しに伝わってくる、一糸まとわぬ母の肌の生温かさ。そして、母の身体の奥深くから立ち昇る、強烈で濃厚な牡の匂い。
拒絶したいのに、優香の身体は完全に硬直して動かなかった。

「ねえ、優香。今日ポストに入っていたあの封筒の宛名……お母さんの字だったのに、気づかなかったの?」
「え……?」

耳元で優しく囁かれた言葉に、優香は目を見開いた。
脳裏に、数時間前に見たあの白い封筒がフラッシュバックする。
『桂木 優香 様』と書かれた、見覚えのある整った字。そうだ、どうして気づかなかったのだろう。あれは、毎日顔を合わせている実の母親の筆跡だった。
聡が調べ上げたのではなく、母自身が娘をこの地獄へ招き入れるための招待状を書き、投函していたのだ。

「お母さん……どうして……っ。お父さんは……お父さんはどうするのっ? お願い、お母さん、正気に戻ってよ!」

優香は最後の力を振り絞り、縋るように母の肩を掴んで叫んだ。
大好きな父がこの異常な事態を知れば、きっと助けてくれる。この狂った男から、母と私を救い出してくれるはずだ。
しかし、その細い希望の糸は、香代子の慈愛に満ちた微笑みによって、あっさりと断ち切られた。

「お父さん? ああ……それなら心配ないわ。今朝、市役所に離婚届を出してきたところだから」
「……え?」
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