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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第15章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/月曜日~
<彩香SIDE>

月曜日 朝 中山彩香の自宅

彩香はクローゼットの前で、すでに二十分以上も立ち尽くしていた。

昨日の夜、健治さんと交わしたLINEのやり取りが頭の中で何度も再生される。
「彩香の全部が見たい」と言ってくれたあの優しい言葉。

そして今日、部署内昼食会があることも忘れられない。

(……今日は、絶対に変に意識してるってバレちゃダメ……)
彼女はまず、いつもの白いブラウスと膝丈の紺色スカートに手を伸ばしかけた。

しかし、指先が布地に触れた瞬間、ふと止まった。

(これ……デート前までの「普通の私」だよね……)

一昨日のデートで、白のブラウスに淡いピンクのフレアスカートを着て、
少しだけ可愛くしようと頑張った自分を思い出す。

あの時は健治さんに「可愛いよ」と言われて胸がいっぱいになった。
でも今、会社では——。

(……あのピンクのスカートは、ちょっと目立つかも。みんなに
「中山さん、今日はなんか違うね」って聞かれたら、どうしよう……)

特に高浜さんや小田さんには鋭いところがある。
何より、健治さんの前で赤くなったり、目が合ってぎこちなくなったりしたら、
すぐに怪しまれる自信があった。

彩香は深く息を吐き、クローゼットの中をもう一度見直した。
手が止まったのは、オフホワイトのゆったりしたブラウスと、
ライトブルーのジーパンだった。

どちらも普段あまり会社では着ない組み合わせ。

ブラウスは肩のラインが柔らかく落ちるシルエットで、胸元も控えめ。ジーパンは細すぎず、動きやすいストレートタイプ。全体的にラフめで、親睦会らしいカジュアルさがある。

(……これなら、いつもの私より少しだけ若く見えるけど、派手じゃない。
 動き回る昼食会の準備もしやすいし……)

彩香は鏡の前でその組み合わせを試着してみた。

肩にかかる程度に軽く下ろした黒髪に、いつもの黒縁メガネ。
地味めで控えめな自分の顔が、そこに映っていた。
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