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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第25章 二人の甘い土曜日~背中に甘える女と、過去の影を秘めた男②~

その夜、貴が寝た後、二人はリビングで初めて「離婚」の話をした。

香織は冷静に、しかし疲れ切った表情で言った。

「もう限界。価値観が違いすぎる。
貴のためにも、このまま一緒にいるのは良くないと思う」

健治はほとんど反論しなかった。
ただ一つだけ言った。


「……貴には、ちゃんと父親でいる。養育費も、面会も、絶対に欠かさない」




協議離婚が成立したのは、貴が中学2年生の春。

香織は貴を引き取り、横浜の大手税理士事務所で本格的に税理士として働き始めた。

健治は息子と月に2回のキャッチボールを続け、今も養育費を欠かさず払っている。


あの夜、ドアの隙間から聞いた香織の言葉は、今でも健治の胸に深く刻まれている。

(……俺は恋愛を、本気で女を愛することを忘れていた。
いや、そんな資格はないと思っていた)




そして今、47歳になった健治は、
企画部課長として働きながら、部下の27歳の彩香と静かに恋を育んでいる。



過去の傷を抱えつつ、それでももう一度、誰かを大切にしたいと願う男になっていた。



そんなことを思い出しながら健治はタオルで汗を拭いていた。



(彩香はまだ若い。俺との関係を、19歳の息子にどう思われるか……
それに、過去の離婚の詳細や、俺が最低だった頃の話まで全部するのは、
彩香を傷つけることにならないか……?)


健治はもう一度深く息を吐き、コートに戻った。


激しい動きの中で、頭の中だけは彩香のことと、
これからどう向き合うべきかでいっぱいだった。


(……彩香。お前を傷つけたくない。
だが、全部受け止めてほしいとも思っている……
どうするのが、お前にとって一番いいんだ)
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