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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第16章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/火曜日~
過去の自分が脳裏をよぎる。
軽薄に女を渡り歩き、香織を妊娠させ、本命の彼女を傷つけ、
一からやり直そうとしたものの失敗した最低な自分。


(……だからこそ、今度は絶対に間違えない)


そして、彩香が急に「バレたらどうしますか」と聞いてきた理由は、
おそらく何か不安な夢でも見たのだろう。

純粋で臆病な彼女の性格を思うと、胸が締め付けられるように愛おしかった。

タバコの灰を灰皿に落としながら、健治は低く独り言のように呟いた。

「彩香……お前を守る。
 傷つけたり、泣かせたりは絶対にしない。
 俺の色に、たっぷり染めて、俺だけのものにしてやる」

口ひげの奥で、わずかに笑みが深くなる。


(来週の日曜日、お前の家に行くのが待ち遠しいな……
 趣味丸出しの部屋で、どんな顔をして照れるんだろう)


タバコを深く吸い、最後まで味わうように煙を吐き出した。

火を灰皿の中で丁寧に揉み消すと、健治は静かに目を閉じた。


胸の奥に、温かく重い想いが確かに根を張っていた。


保護欲と独占欲が、47歳の男の中で静かに、しかし確実に燃え続けている。


(……もう少し我慢だ、彩香。
 お前が逃げれば逃げるほど、捕まえたくなった)

夜の窓に映る自分の影を見つめながら、健治は小さく、満足げに笑った。
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