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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第20章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/金曜日~
12時51分 13階 ミーティングルーム

嫌な予感がして気になり、社用スマホで施設予約を確認した彩香は、青ざめた。

(13時から……健治さんと田中部長そして矢賀部さんの予約……!?)

慌てて弁当を片付け、出口に向かう。


しかしドアを開けた瞬間——



「彩香?」


準備に来た健治さんと、入口でばったり鉢合わせになった。
健治は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの渋い笑みを浮かべた。
廊下に誰もいないのを確認し、低い声で囁く。

「……逃げ損ねたな」

彩香はメガネの奥の瞳を大きく見開き、声も出せずに固まっていた。
顔はすでに耳の先まで真っ赤で、膝が小刻みに震えている。

健治はドアを軽く押さえ、彩香を部屋の中に誘導するように一歩近づいた。

厚みのある胸板と、男らしい体躯がすぐそこにある。

「昼飯、ちゃんと食えたか?」

その声は優しく、しかし意地悪く響いた。
彩香は唇を震わせながら、か細い声で答えた。


「……健治さん……あの……」


雨の音が窓の外で静かに響く中、
二人の秘密の昼休みが、予期せぬ形で始まろうとしていた。
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