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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第20章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/金曜日~
15時 13階 休憩室

企画部のフロアから少し離れた休憩室で、彩香はコーヒーを淹れていた。

すると、ここ最近、ことあるごとに声をかけられる相手が近づいてきた。


隣の新規建設DX部の3年目社員・長渕拓海(25歳)。
細身の体型に80年代ロットスチュワードのような少し長めの髪を軽くセットした、
チャラく見えるが一本気な部分もある若手だ。


「中山さん、いつも真面目ですよね。休憩中も資料持ってるなんて偉いよ。
よかったら今度、飲みに行きませんか? 俺、結構詳しい店知ってるんだけど」

長渕は笑顔で軽くナンパ気味に声をかけ、彩香の隣に寄ってきた。
距離が少し近い。

彩香は困ったように微笑みながら、丁寧に距離を取ろうとした。

「あ、ありがとうございます。でも私は……」



その瞬間、休憩室の入り口に大内健治の姿があった。


健治さんはコーヒーを取りに来たつもりだったが、
彩香が長渕に言い寄られている様子をはっきりと目撃してしまった。
一瞬で大内さんの表情が硬くなった。

口ひげの下で唇が引き結ばれ、目が鋭く細められる。

胸の奥で、熱い独占欲が一気に燃え上がった。


(……長渕か。あの若造が、俺の彩香に……
ここ最近、しつこく話しかけてるのも知ってる)



健治さんはゆっくりと休憩室に入り、わざと低い声で言った。

「中山。資料の件で確認したいことがある。少し時間もらえるか?」

彩香はほっとした表情で振り返り、

「はい、すぐに行きます!」
と答えた。

長渕は健治さんの威圧感のある鋭い視線を感じ、軽く会釈をしてその場を離れた。


彩香はほっとしたような、申し訳なさそうな表情で健治さんの後ろについて休憩室を出た。
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