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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第25章 二人の甘い土曜日~背中に甘える女と、過去の影を秘めた男②~
一方で遥とは、結婚の話を具体的に進めていた。


遥の実家に挨拶に行く日程まで決まっていた。最悪の夜。香織から電話があった。


「……妊娠したみたい」

健治は一瞬、頭が真っ白になった。遊びのつもりだった。

香織も「一時的な関係」と割り切っていたはずだった。

「どうします?」と聞く香織の声は、いつものように冷静だったが、わずかに震えていた。

その頃、遥は健治に手編みのマフラーをプレゼントしてくれていた。



「結婚したら、毎日巻いてあげるね」と微笑みながら。

すべてが崩れていく音が聞こえた。

健治は香織の妊娠を知らされた夜、初めて自分の浅はかさを痛感した。

バーで女を漁り、社内の後輩を食い散らかし、本命の遥を裏切り、
遊びの相手に子供を作った。取り返しのつかないことをした。

後日、遥にすべてを告白したときの彼女の泣き叫ぶ顔は、
今でも健治の胸に深く突き刺さっている。

「他の女と遊ぶなんて酷い……!
私はこんなに愛していたのに……!」

香織の両親からの激しい怒り、自分の両親からの説教、父親に殴られた痛み――


すべてが、最低な自分のプライドをズタズタに砕いた。


本命の彼女・遥への手切れ金は、健治自身が用意した。

喫茶店で遥にどうしても話したいと呼び出して、
震える手で封筒を差し出し、遥の泣き腫らした顔の前で頭を下げた。

「……本当に、すまない。俺が最低だった。
これで……せめて、形だけでも。」

遥は封筒を突き返そうとしたが、結局受け取った。

その瞬間、彼女の目から大粒の涙が零れ叫んだ言葉が、
健治の胸に永遠の棘を刺した。

「最低なクズ男!もう二度と私に姿を現さないで、連絡も取らないで!
さっさとここから出てって……!」
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