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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第45章 逃げ切れない平日の甘い攻防~水曜~残業編
彩香は震える指で健治さんにメールを打った。
最後の抵抗だった。

送信者:中山 彩香
件名:Re: 【既存顧客向けDXツール簡易版】 午後作業について
大内課長
本日の残業作業について、小川さんにセキュリティ部分の意見をいただきたいと思い、
同席をお願いしました。
小川さんは18時までしか時間が取れないとのことです。
なんとか作業ですが18時以降は作業を取りやめて
翌日以降に延期は可能でしょうか……?
または別日への調整など、ご検討いただけないでしょうか。

中山

送信ボタンを押した後、彩香はスマホを握りしめて小さく丸くなった。

(……これで、少しでも時間を稼げれば……
お願い……健治さん……意地悪しないで……)

しかし、送信した瞬間から、健治さんがどんな返信を寄越すのか想像してしまい、
彩香の顔は再び耳まで真っ赤に染まっていった。



<健治 SIDE>

同日 14時15分 神奈川支店 13階 企画部フロア

健治はデスクで資料を確認している最中、彩香からの返信メールに気づいた。
件名を見て、すぐに内容を開く。

「……ふっ」

低く短い笑いが漏れた。
メールを読んだ健治は、背もたれに深く体を預け、
口ひげを指でゆっくりと撫でながら心の中で呟いた。

(考えてきたな……彩香)

眼差しが鋭く細められ、満足げな笑みが深くなる。

(小川を同席させようとするなんて……必死に抵抗してる姿が目に浮かぶな。
可愛い……本当に可愛いぞ)

健治はしばらく画面を見つめた後、落ち着いた指さばきで返信を打った。

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