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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第6章 彼女の闇と、彼の影~甘い余韻の後で疼く古傷~
——その瞬間、スマホの着信音が鳴り響いた。
彩香はビクッと体を大きく震わせて目を覚ました。

「はっ……!」
荒い息が喉の奥で絡まり、胸が激しく上下する。

額と背中に冷たい汗が浮かび、頰は熱く濡れていた。
枕カバーが涙でじっとりと重い。

(……夢……また、あの夢……)

一瞬、夢と現実の境目が掴めず、暗闇の中で体を硬直させた。
心臓がドクドクと痛いほど鳴り、指先が小刻みに震えていた。
ゆっくりと上体を起こす。部屋はまだ薄暗く、
カーテンの隙間から朝の光がわずかに差し込んでいる。

時計は午前8時ちょうどだった。

スマホをみると、健治さんからlineメッセージが届いていた

「……健治さん……」

夢の中で必死に叫び続けていた名前を、掠れた声で小さく呟いた。

彩香は深く息を吸い、ゆっくり吐き出した。
震える指でスマホの画面を解除し、健治さんからのメッセージを開いた。
目尻にまた新たな涙が浮かぶ。

健治:
おはよう、彩香。
昨夜は彩香のことを考えすぎて、なかなか寝つけなかったよ。
身体は大丈夫か?今日も無理せず、ゆっくり過ごしてくれ。

彩香の胸がぎゅっと締め付けられた。
夢の中で必死に叫んだ「助けて」という言葉と、
健治さんの優しいメッセージが重なり、涙が一筋こぼれ落ちた。

(こんなに優しくしてくれるのに……私、いつか重くなって嫌われたらどうしよう……)

それでも、彩香は震える指で返信を打ち始めた。

彩香:
おはようございます、健治さん。
メッセージ、嬉しくて泣きそうになりました……。( ;∀;)
私も、ずっと健治さんのこと考えてました。
今日のんびりして明日からの仕事頑張ります!
来週の土曜日、とっても楽しみにしてますね(`・ω・´)

嬉しいのに、怖い。
この優しさがいつまで続くのか、いつか嫌われてしまうのではないか——

そんな思いが頭をよぎるたび、
健治さんの大きな胸に飛び込みたくなる衝動に駆られた。

(……今すぐ「寂しい」「怖い」って言いたい。
でも、言ったら重いって思われるよね……)

彩香は震える手で返信メッセージを入力し送信ボタンを押した後、

スマホを抱きしめ、掠れた声で小さく呟いた。

「……健治さん、好きすぎて怖いよ」
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