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背中のジッパーを下ろしたら
第1章 某所ラブホテルにて
某所のホテルにて。

デートにワンピースを着てきた彼女へ、

「背中のジッパーを下ろしてあげようか」

肩を抱いてささやくと、フフッと笑った。

「今のワンピースはね。背中のジッパーがないのよ」
「えっ、そうなの?」
「そう。今は、頭から被るデザインが多いかな」
「そうなんだ」

ほら、と、笑いながら後ろを向いた彼女のワンピースの背中にジッパーはなかった。

 ……おお、男のロマンが……なくなってしまったのか。背中のジッパーを「チーっ」と下ろしていき、ワンピースの隙間から彼女の素肌と身体が徐々に見えてくるのがエロスなロマンだったのに。

 ……ジッパーを下ろしきったら、肩からストンと脱がせて、そのあとは……。

「背中のボタンで留めるワンピースもあったよね」

残酷な時の流れに感慨に浸りつつ、彼女へ聞いたら、

「背中のボタンのワンピース、あったね」

笑いながら「よく知ってるよね」と感心された。
 
「今は機能的なのが流行りかな。被るほうが着やすいし」
「……まあ、そうだろうけれど。機能優先なのは、つまらないというか……」
「フフッ、ワンピースの背中のジッパーは"男のロマン"だよね。そうでしょう?」

ベッドの横で、ストッキングを脱いでから、スカートをまくり、たくし上げたワンピースを頭から脱いだ彼女が、乱れた髪を直しながら笑う。

 ……うーん。脱ぎ方が絵にならない。そそらない。ああ、男のロマンよ……。

 ……まあ、脱がせたあとは……今も昔も変わらない。
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